$ 0 0 刻音色(ときねいろ)一の刻(いちのとき) 蝋燭の灯りで語られる神隠し伝承に導かれるように、歯車は回り始めた。深夜零時。数十年、動くことのなかった大時計が、十三点鐘を告げる。内なる井戸の底から這い出した黝(あおぐろ)い翳(かげ)が徘徊する時、闇に漏れ聞こえるメイド達のすすり泣きは、恍惚…それとも――。